無切開手術(flapless surgery)


歯ぐきを切開しないで行うインプラントです。
切開しないので、縫合しない、腫れない、痛くない、手術が早く終わる、といいことばかりですが、ある程度骨がたくさん残っていないとできません。
骨移植をする場合は切開が必要です。


上顎に歯が全てなく、インプラントによる固定式の歯を希望されています。
取り外し式の義歯では違和感が強くて入れていられないそうです。
ただ手術が怖いので、できるだけ侵襲の少ない方法を希望されました。
コンピューターシュミレーションソフト、ノーベルクリニシャンを用いたフラップレス手術なら何とか耐えられるのではないかということになり、
CTスキャンを撮影してプロセラソフトウエアで3次元的に骨の状態を診査しました。

右上(向かって左上)の6番相当部は歯周病の歯を悪くなっても抜かずにいたので、骨がほとんどなくなってしまっています。それ以外はそこそこ骨が残っていました。
7本のインプラントでその日のうちに固定式の仮歯が入るAll-on-7を無切開で行うことにしました。

CTのデータをパソコンのノーベルクリニシャンで3次元的に診査し、骨があるところを探しながら治療計画を立てました。
右上6番(向かって左)は骨がないので近心に、そして口蓋側よりに傾斜埋入します。
通常の2次元のレントゲン写真ではここに骨があることは分かりません。

右上は上顎結節も使うことにしました。

上顎は6本でもよかったのですが、1本苦しい部位があったので、何かあったときに対応しやすいように7本にしました。

埋入深度、角度、アクセスホールの位置も入念にチェックします。

ノーベルガイドを用いたガイデッドサージェリー手術直後。7本のインプラントが入りました。
フラップレスで切開していませんので、縫合の必要もありません。
わずか1時間で手術は終了です。出血もほとんどありません。
恐がりの患者さんでしたが、この程度なら何とか大丈夫だったそうです。
下顎も将来、もしダメになったらインプラントにしたいそうです。

無切開なのでほぼ腫れません。

一番奥のインプラントは骨が軟らかく、20Nしかでなかったため、仮歯には組み込んでいません。 ほかの6本は45Nしっかり出ましたので、その日のうちに、固定式の仮歯を装着しました。
今まで使用していた総義歯よりも随分小さくできました。
ここまでの所要時間は全部で3時間。
従来のように、切開したり、縫合したり、歯が入るまで6カ月~1年待つ必要はありません。
まさに夢のような治療法です。

ブローネンマルクインプラント、Speedy Groovy 4.0-13~15mm。
傾斜埋入したことでうまく上顎洞を避けて、グラフトレス(移植なし)で手術ができました。

まっすぐに埋入すると、大掛かりなサイナスリフトとGBRが必要ですが、2壁性なので成功率は低そうです。

骨としっかり付くまで4ヶ月待ちます。歯茎の状態もいいですね。

本歯はPIBという上部構造で仕上げました。チタンフレームで補強してあるので仮歯よりも更に薄く小さくできるので違和感がより少なくなり発音もしやすくなります。
チタンなので見た目以上に軽いです。

奇麗に入りました。
境目は唇をめくらないとみえませんので、普段の生活で見えることはありません。

ネジ止めの固定タイプなので本人は外せませんが、我々は外したいときにすぐ外せます。
通常、メンテナンスのお掃除のときに全て外して徹底的に清掃、消毒致します。
長い間治療お疲れ様でした。
これで何でも噛めますね。 
治療期間 約6ヶ月


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